「社内の知識」をコンテンツに変える

取材型ホワイトペーパーが「読まれる」理由

社内の知識をコンテンツに変換する取材型ホワイトペーパーのプロセス
ホワイトペーパー制作サービス 編集部

取材の現場で何度も感じてきたのは、社内では「当たり前のこと」が外の目には「それが一番大事なことでは」と見えることがある、ということです。その非対称性について書きました。

自社で書くと「わかっている人向け」になる

社内の担当者がホワイトペーパーを書くとき、無意識にやってしまうことがある。説明の省略だ。

自分が毎日使っている言葉、同僚に話すときに自然に使う専門用語、前提として共有されている業界の知識。これらを、読者も知っているものとして書いてしまう。書いている本人には省略した自覚すらないことが多い。「これは説明するまでもない」と感じているから省くのだが、初めてその領域に触れる読者にとっては、まさにそこが知りたい部分だったりする。

ホワイトペーパーの読者は、必ずしも同じ業界の詳しい人ではない。課題はあるが、解決策の候補を探しているフェーズの人が多い。その人たちに向けて書くには、「わかっていない人の目線」を持って設計する必要がある。自社の内側にいる人間には、それが難しい。

「わからない役」が引き出すもの

外部のライター・編集者が取材に入ることの一番の価値は、「わからない人の代理」として機能できることだと思っている。専門知識がない人間が「それはどういう意味ですか」「なぜそこが大事なんですか」と聞くことで、担当者が普段口にしない言葉が出てくる。

「こんな基本的なことも知らないのか」と思われるかもしれない、という遠慮は、実は取材の場ではほとんど起きない。むしろ「あ、そこから説明しないといけないんですね」と担当者が気づき、ゼロから話してくれることが多い。その「ゼロから話す言葉」の中に、読者が本当に知りたい情報が入っていることがある。

社内の担当者同士では絶対に交わされないやり取りが、外部取材者との対話では生まれる。これは外注する理由のひとつとして、コスト削減や時間節約よりも、もっと根本的なところにあると感じている。

想定外の言葉がコンテンツの核心になる

取材をしていると、事前に想定していた内容とは別のところに、コンテンツの一番大事な部分が眠っていることがある。

あるセキュリティ系ソフトウェアの取材をしたとき、担当者が製品の機能を一通り説明した後、「そうそう、お客さんがよく言うのは……」と付け加えた一言があった。それは製品の説明ではなく、導入後に顧客が気づくことへの話だった。「製品を入れてから初めて、自社のどこがリスクだったかわかった、という方が多い」という話だ。その言葉は、事前に用意した構成案には入っていなかったが、最終的にタイトルに近い部分に使うことになった。

取材は「決めた構成を埋める作業」ではなく、「まだ形になっていない知識を掘り起こす作業」だ。だから、事前の構成はあくまでも仮設として持ち、取材の中で更新していく姿勢が必要になる。

取材前の準備が成否を分ける

「わからない役」が機能するためには、逆説的だが、ある程度の予習が必要だ。全く何も知らない状態で取材に臨むと、表面的な説明を受けて終わってしまう。担当者も「この人に深い話をしても伝わらない」と判断して、入門的な話に留まりがちになる。

準備として必要なのは「業界の全体像と、その企業が何をしているか」程度の理解だ。完全に理解する必要はない。むしろ「概要はわかったが、ここが腑に落ちていない」という状態で取材に入ることで、「なぜここがポイントなんですか」という質問ができるようになる。この質問が、担当者の説明を深いところまで引き出す。

特に最後の「仮構成の事前共有」は重要だ。担当者が「この内容は書いてほしくない」と思っている部分を事前に確認できるし、取材後の修正回数が減る。

知識を「翻訳」するのが編集の仕事

取材を終えて原稿を書くとき、もっとも気をつけているのは「担当者が話した順番で書かない」ことだ。取材の場では自然と時系列・経緯順になることが多いが、読者が知りたい順番は違う。

読者は「自分の課題が解決されるかどうか」から読む。だから構成は「読者の課題の提示→その課題が起きる背景→解決のアプローチ→具体的な方法や根拠」という順番の方が、自然に読み進められる。担当者の豊富な知識を、読者の理解の順序に並べ替える。これを「翻訳」と呼んでいる。

取材型ホワイトペーパーの品質は、取材の質と翻訳の質の掛け合わせで決まる。どちらかが弱ければ、もう一方が強くても補いきれない。良い取材で引き出した素材を、適切な構成で読者に届けること。それが、社内には書けない「読まれるホワイトペーパー」になる条件だと思っている。

取材型ホワイトペーパーの強みは「他の会社には出せないコンテンツになる」ことです。Web上に溢れている一般論とは違い、特定の企業の知見・経験・視点が入ることで、独自性の高いコンテンツになります。リード獲得のコンテンツとして機能しやすいのも、この独自性ゆえです。

社内承認と「書いていいこと」の確認

取材型ホワイトペーパーで見落とされがちなのが、原稿の社内確認フローだ。担当者にとっては当然の話でも、上長や法務・コンプライアンス部門から「この表現は対外的に出せない」と指摘が入ることがある。制作後半でそれが発生すると、内容の骨格まで変わることがある。

取材前に確認しておくべきことが3点ある。「どの情報は出せてどの情報は出せないか」「競合他社の名前を出すことの可否」「実績・数字を記載する場合の確認ルート」だ。特に上場企業や規制業種では、外部発信に際して法務確認が必要なケースがある。ここを曖昧にしたまま進めると、完成間際に差し戻しが起きる。

逆に言えば、「書けること」を事前に把握できれば、取材の方向性を絞れる。書けない情報を軸にした構成を作っても意味がないので、取材前にこの確認を済ませておくことが、結果として手戻りを減らす。

取材後の「再編集」が仕上がりを変える

取材が終わった直後に原稿を書くのではなく、一度素材を整理する時間を取る方がいい。録音・メモから得られた情報は、取材の流れで順番が決まっているが、読者にとって最適な読み順は違う。

素材整理でやること:担当者が話したことを一度バラバラに書き出し、「読者が最初に知りたいこと」「中盤で知りたいこと」「最後に確認したいこと」に並べ直す。ここで構成を組み直すことで、取材の順番に引きずられた原稿にならない。

もう一つ意識しているのは「使わない素材を決める」ことだ。取材では予想より多くの情報が出てくることが多い。全部入れようとすると読者が消化できない。「このホワイトペーパーで読者に持ち帰ってもらうことは何か」を一文で言えるかを確認して、それに関係しない素材は思い切って省く。使わなかった素材は次のコンテンツに使えることもある。

取材・ヒアリングから始める制作も対応しています

「社内に書ける人がいない」「専門的すぎて言語化が難しい」という場合でも、取材を通じてコンテンツに仕上げます。BtoB・IT領域での取材実績があります。

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