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「作ろう」と決めた後に詰まる理由
「ホワイトペーパーを作ろう」という話が社内で持ち上がり、担当になった。さて、何から始めるか。ここで止まってしまう人が多い。
多くの場合、最初に考え始めるのは「テーマ」だ。「何について書くか」を考え、「うちの製品の技術的な強みかな」「業界トレンドでも書こうか」とアイデアを出すが、なかなか決められない。あるいは決めたはいいが、書き始めてから「これは誰向けなんだろう」と迷いが出てくる。
詰まる理由は、テーマを考える前に決めておくべきことが3つあるからだ。この3つが曖昧なままテーマを決めると、後から何度もやり直しが起きる。逆にここを先に固めると、テーマはむしろ自然に絞られてくる。
確認1:何のために作るのか
「なぜホワイトペーパーを作るのか」を一文で言えるかどうか確認する。「リードを増やしたい」「商談を前に進めたい」「競合との差別化をしたい」「既存顧客にアップセルしたい」:目的によって、作るべきホワイトペーパーの中身はまったく変わる。
よくあるのが「とにかく何か作っておこう」という動機で始まるケースだ。この場合、完成しても「何のために使うのかわからない」という状況になりやすい。制作コストをかけるなら、そのホワイトペーパーが何を変えるのかを先に言語化しておく必要がある。
目的を確認するための問いかけ:「このホワイトペーパーが完成した3ヶ月後、何が変わっていれば成功と言えますか」。この問いに答えられない場合は、目的がまだ固まっていない。
目的が「リード獲得」なら、読者がまだ自社を知らない前提で設計します。目的が「商談促進」なら、読者はすでに自社を知っていて比較・検討中という前提になります。同じテーマでも、目的が違えば切り口も構成も変わります。
確認2:誰に読んでほしいのか
読者像を「マーケティング担当者」のように職種で考えるだけでは足りない。「どんな課題を持っている」「何を決めようとしている」「何を知らない」状態の人なのかまで考える。
たとえば同じ「情報セキュリティ担当者」でも、「初めてセキュリティツールの導入を検討している人」と「既存ツールのリプレイスを考えている人」では、知りたい情報がまったく違う。前者には「そもそもどんなリスクがあるのか」という前提情報が必要で、後者には「移行コストと比較軸」が必要になる。
読者像の解像度を上げるために使える方法が2つある。一つは営業担当者へのヒアリングで「最近商談になった人はどんな状況の人が多いか」を聞くこと。もう一つは、自社サイトの問い合わせや過去の資料請求フォームの情報から傾向を分析することだ。「誰に届いているか」のデータは意外と社内に眠っている。
確認3:どこでどう使うのか
配布方法と使い方が決まっていないと、完成後に「どこに置けばいいかわからない」という状態になる。作る前に「完成したら何をするか」まで想定しておく。
- 自社サイトにダウンロードページを作るのか、既存ページに追加するのか
- 広告(リスティング・SNS)で配布LPを作って誘導するのか
- メルマガで既存リードへ配信するのか
- 営業が商談資料として使うのか
- 展示会や外部イベントで配布するのか
配布方法によって、フォームで取得する情報の設計も変わる。広告経由で新規リードを獲得するなら、フォームで業種・企業規模・役職を取ることに意味がある。営業が商談で手渡しするなら、フォーム自体が不要かもしれない。
テーマはこの3つが固まってから考える
目的・読者・配布方法の3つが揃うと、テーマの候補は自然に絞られてくる。「リード獲得のため」「まだ自社を知らない検討初期層に」「サイトのダウンロードページで」という条件が揃えば、「自社製品の詳細機能解説」は合わない。「この業界の担当者が最初に直面する課題と解決の切り口」の方がフィットする。
テーマ候補が複数出たときの絞り込み方:「このテーマのホワイトペーパーがあったら、自分がターゲットとした読者はダウンロードするか」を想像してみる。「するかもしれないが、他でも調べられる」なら弱い。「これは他にはない情報だ」と感じるなら強い。
テーマ設定の詳しい考え方はテーマ選びで8割が決まるのコラムで詳しく書いているので合わせて参照してほしい。
社内の専門家をどう動かすか
ホワイトペーパーに書く専門知識は、多くの場合マーケ担当者ではなく製品開発・エンジニア・営業などの社内専門家が持っている。その人たちの協力をどう引き出すかが、社内制作の最大のハードルの一つだ。
「ホワイトペーパーを作りたいので情報をください」という依頼は通りにくい。理由は「どんな情報を、どの形で、いつまでに」が見えないからだ。これを解消するには、最初の依頼に「構成の仮案」を添えることだ。「こういう流れで書こうと思っているので、このセクションについて30分話を聞かせてもらえますか」という形なら、専門家側も準備の見通しが立てやすくなる。
また、完成したホワイトペーパーをフィードバックとして専門家に共有することも、次回以降の協力を得やすくする。「あのコンテンツで何件リードが取れた」という数字が見えると、専門家も「自分の知識が役に立っている」と感じやすい。
外注を検討するタイミング
社内で作り始めてみて、いくつかのサインが出てきたら外注を検討するタイミングかもしれない。
- 担当者が他業務と兼務していて、制作が後回しになり続けている
- 書いてみたが「読んでいて面白くない」という感想が社内から出た
- 専門知識はあるが、それを読者にわかりやすく翻訳できていない
- デザインの見た目に自信が持てない
- 年間3本以上の制作が必要で、社内リソースが継続的に圧迫されている
外注は「丸投げ」ではなく、社内の専門知識とライターの文章力・構成力を組み合わせる共同作業だ。社内の知識提供者として適切に関与できれば、外注でも自社にしか書けないコンテンツが作れる。